イベントレポート

香港・マレーシア合気道ツアー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

平成16年4月29日から5日間 『香港・マレーシア合気道ツアー』のルポです。
平成16年4月29日から合気道神戸三田道場主催の『香港・マレーシア合気道ツアー』に行ってきました。
香港合気道協会での稽古、マレーシアSHOB UKAN道場の10周年記念式典参加をはじめ、合気道、観光、そして人との出逢い…。
本当に充実した5日間でした。

【いざ香港へ!】

早朝に自宅を出て、メンバーと合流。車で関空へむかいました。
『おはようござまーす。』みんな眠そうですが元気に飛行機に乗り込みます。
3時間30分のフライトを経て、香港国際空港に到着です。ロビーに出ると、香港合気道協会のマイケル・リャン会長が出迎えてくださいました。
堀井師範と再会を喜んでおられます。
空港の建物から外に出ると、気温は30℃。日本の7月初旬くらいの暑さです。
香港合気道協会が手配してくださったマイクロバスに乗り込み、一行はホテルへ向かいます。
その途中、ハイウェイから目にしたのは、香港の超高層マンションの数々。ほとんどすべてのマンションが、30階以上あります。
マイクロバスの中で、香港合気道協会についてたずねてみました。
『道場は3ヵ所あり、すべて冷暖房完備。総会員数は百数十名、毎回の稽古参加者は20~40名くらいかな』とのこと。
また、香港の治安についてたずねたところ、『そんなに悪くないよ。夜でも安心して街を歩けるし…でも、危険な場所もあるよ。だから、香港合気道はリアルファイティングなんだ。会員の10%はケガで休会しているよ。』
リアルファイティング…初めての海外稽古の前に、不安と期待が高まります。

【いよいよ稽古】

ホテルで少し休憩をとったあと、再びマイケル氏の出迎えでいよいよ道場へと向かいます。
道路は大渋滞。海底トンネルをくぐり、金融街の超高層ビル群を抜けて、海のそばにある総合体育館にたどりつきました。
道場は、3面鏡になっていて、手すりがあり、バレエ教室のような所に畳を40畳しいた感じです。 冷房が寒いくらいに効いています。
稽古は、当会の師範でもあります堀井師範の講習会です。
香港で指導されるのは、(財)合気会本部道場指導部におられたとき以来だそうです。
まず、マイケル・リャン会長から堀井師範の紹介が英語と広東語であり、いよいよはじめての海外稽古が始まります。

【これが”香港スタイル”】

稽古をはじめて気付いたことがあります。
礼をして、相手を探すときには、香港の方はサッと右手の手のひらを差し出してきます。
この動きは、香港のカンフー映画でやっていたのと同じです。『お相手ねがいます』という意味でしょうか。
そして、技についてですが、確かにリアルファイティングで、初動が早く、当て身を正確に入れてきます。
しかし、基本となる捌きはやはり同じで、しっかりと入身・転換の捌きができていれば、体が大きくマッチョな人にも十分に技がかかります。
また、くずす前に当身を正確にいれると有効でした。
稽古が始まれば、香港人も日本人もなく、皆ひとりの合気道人として、目を皿のようにして堀井師範の説明を見ています。
合気道に対する情熱に、国境などないのだと感じました。

【本場広東料理で懇親会】

1日目の稽古は、1時間15分で終了。
冷房がきいていたせいか、気が張っているのか、思ったよりも疲れませんでした。
稽古の後は、香港合気道協会の方々いきつけの綺麗なレストランで懇親会です。香港の方々と片言の英語でお話をしながら食べる、本場広東料理は格別の味です。
笑い声の絶えない中、香港の夜は更けていくのでした…。

【香港2日目、昼食は海の上で…飲茶】

ホテルのロビーに10時30分に集合して、今日は香港合気道協会の方々に市内観光に連れて行っていただきます。
まず、香港市内をマイクロバスにて案内していただき、1997年に香港がイギリスから中国に返還された際の記念碑『Golden Flower』を見学。そのあと、政府や軍の建物、競馬場を車中から見学したあと、『ここで昼食にします』といわれ、なぜか船着場に到着しました。
そこには『珍賓王国~JUMBO KINGDAM~』とかかれた看板がありますが、レストランらしき建物は見当たりません。
それもそのはず、何と、レストランは海の上に浮かんでいて、桟橋から船に乗ってしか入店できません。
料理は、本場の飲茶。
せいろで蒸した、海老や豚肉のシュウマイ、あっさりした春巻き、卵料理、饅頭などなど、次から次へと出てくるご馳走に、満腹かどうかを感じているヒマなどありません。
そして、『飲茶』というぐらいですからお茶も最高です。
烏龍茶やジャスミン茶など数種類が飲み放題。すっきりとした後口で薫り高く、とてもさわやかな気分になってきます。
重いおなかをひきずるようにして、次の場所へ向かいます。

【スタンリーマーケット】

次に案内していただいたのは、スタンリーマーケット。
ここにはお土産物店、欧風のカフェやパブがあり、古くから外国人向けのリゾート地域だったようです。
すぐ側の美しい海には、なんとビーチが…海水浴をしている人がいます。
香港といえば大都会といったイメージがありましたが、ここは広い砂浜、心地よい風、どこまでも続く海…まるで地中海のリゾートのようです。

【2日目の稽古】

ホテルに戻り少し休んだあと、本日のメインイベント、稽古の時間です。
今日はまた別の総合体育館です。
やはり寒いくらいの冷房の中、堀井師範の指導で稽古が始まります。
今日は、まず基本動作から。転身、転換、入身転換から継ぎ足、送り足、歩み足の捌き。次に、両手取天地投げ、半身半立片手取四方投げ、正面打一教、四教、入り身投げ等をやりました。
堀井師範の稽古は基本を重視した稽古で、英語で指導されていた以外、日本でのいつも稽古と何も変わりませんでした。
私達は恵まれた環境にあるのだと思います。
【体育館の地下には何と…】
稽古後、体育館のエレベーターに案内され、入り口は1階だったのに、なぜか地下のボタンが押されています。
エレベーターのドアが開くとびっくり、なんと、体育館の地下には巨大な広東料理店になっていたのです。
ここでも香港合気道協会の方々と、円卓を囲んで懇親を深めました。

【2次会】

今日は香港で最後の夜なので、何人かは2次会へ行きました。
店は、『JAPANESE BAR HIBIKI』。
どのあたりが日本風なのかはよくわかりませんでしたが、外国のものは何となくおしゃれに感じるのは香港も日本も同じのようです。
ここでの会話で、印象に残った言葉があります。
“ ONLY PRACTICE MAKE PERFECT ” (稽古だけが完璧を作る)
どこの国でも、大切なことは稽古を積み重ねていくことのようです。

【3日目 香港からマレーシアへ】

早朝にもかかわらず、香港合気道協会の方がホテルまで出迎えに来てくれました。 朝食は空港のレストランで飲茶。香港では飲茶は朝に食べるものだそうです。
お昼前に出国しましたが、香港合気道協会の方々は、入国してから出国するまでずっと、私達のことをサポートしてくれました。
本当にありがとうございました。
私達はキャセイパシフィック航空機の中で広東語字幕の映画を観たりしながら、この旅のメインイベント『SHOBUKAN DOJO 10th ANNIVERSARY』が行われる、南国の地マレーシアへと旅は続きます。

【マレーシア入国】

香港国際空港から3時間15分かけて、夕方にクアラルンプール国際空港に到着しました。合気道昇武館道場長のマーカス・チャン氏ら数名が出迎えてくれました。堀井師範ご夫妻と一部のメンバーは、3年前に一度マレーシアを訪れています。
空港ロビーから外に出ると、ちょうど日本の夏の夕だち直後のような、多湿な暑さです。

【クアラルンプール到着】

道場とホテルのあるクアラルンプール中心部までは約1時間。
香港で稽古に遊びにフル稼働していた私達は、車中でお話もせず、眠りこけてしまいましたが、マレーシアの人達は、『だいじょうぶ?つかれてない?』と気づかってくださいました。
ホテルに到着。少し休んだ後、セントラルマーケットという所に案内していただきました。
マレーシアの特産物、錫(すず)製品やアジアの民族衣装、アクセサリー、お菓子など何でも売っています。
少し時間があったので、カフェでフルーツドリンクを頼みましたが、さすが本場、元気が出てくるくらいおいしかったです。

【前夜祭】

夕食はさながら前夜祭のような雰囲気でした。
日本の海水浴場にある「海の家」を都会に持ってきたような店で、ジャンボ扇風機がまわる中、ここでもやはり円卓を囲みます。
席についてしばらくたつと、マレーシアの他のメンバーや、お隣の国から合気会シンガポールの一行が合流しました。
ここでも、ビールを片手に旧交を温めたり、片言の英語でお話をしたりしました。

【食物とフルーツ】

マレーシア料理は意外とあっさりしていて、日本の唐揚げやあんかけうどんに似た品もありました。マレーシアも日本も同じ『アジア』なのだと思いました。現地で辛いのが好きな人は、トウバンジャン(?)や、キュウリのキューちゃんに唐辛子をプラスしたような香辛料を好みでつけて食べていました。
食事の後、となりの果物屋でドリアンとライチをいただきました。
日本だと、ドリアンは匂いがきついので敬遠されがちですが、そこはやはり本場。匂いはひかえめですごくおいしかったようです。

結局今夜も誘われるままに2次会に参加。夜の街へと繰りだすのでした…。

【マレーシア2日目】

朝9時30分にホテルロビーに集合。
高級ホテルですが、となりにはトタン屋根の家々があります。
この国では日本とは少し勝手が違うようです。

【いざ会場へ】

会場につくと、すでにマットが敷いてあります。
それにしてもこの国は蒸し暑いです。道着に着替えると、立っているだけでジンワリと汗がにじんできます。空調設備は大型扇風機と換気扇。
4月から10月までは気温30℃を超える日がほとんどだそうです。
会場のドアや窓をすべて全開にしているので、ときどき鳥が入ってきて、様子をうかがっては出て行きます。

【稽古開始】

第一部は、マーカス道場長の稽古です。
ゆったりとした動きですが、大きな渦に巻き込んでいくような感じで相手を崩していきます。
お弟子さん達とも組むことができましたが、力に頼ることなく、しかし芯がしっかりとしていて、何より皆さん非常に熱心に合気道を稽古していることが伝わってきました。
第二部は、われらが堀井師範の稽古です。
海外にきた勢いで、派手な技や応用技をされるのかと思いきや、いつも私達が受けているのと同じ、基本、基本、基本です。
とくに、半身半立片手取について、受けの立ち位置や、取りのとき相手を崩したり導いたりする動きを丁寧に指導しておられました。
ここで一時間の休憩と昼食です。
とにかく暑いのでみんな「夏ばて」状態です。食事をいただき、ほっと一息ついたころ、皆が会場に戻ってきて、どうやら第三部が始まるようです。
第三部は、合気会シンガポールのハリー師範です。
六十五歳という年齢もあってか、説明の時間が少し長かったですが、おもに力を抜くことや当て身の重要性について説明されていたと思います。
(説明が英語だったので、詳細はよくわかりませんでした…。)
シンガポールの方も非常に熱心で、”リアルファイティング”志向のオジサンとかもいて楽しかったです。若い女性や学生もいました。

【稽古は愉快にやるべし】

海外で合気道といえば、”武道”であり”護身術”であり、本当に戦うことを目的として合気道をされている方は、日本よりも多い気がしました。
ただ、そのために力が入りすぎると、自分から崩れてしまいますので、『稽古は愉快にやるべし』という開祖の教えの意味を、今回の旅で身を持って学んだ気がします。
そして、休憩もそこそこにSHOBUKAN10周年記念演武大会が始まります。

【演武大会】

稽古はおよそ3時間あり、演武は30分の予定です。
まず、SHOBUKAN道場の演武です。
マーカス道場長の演武。座技、基本技のシンプルな演武です。
以下の演武も同様なのですが、神戸三田道場のように全員参加型の演武ではなく、有段者以上とか、ある程度の腕前がないと出演できないようです。
2番目に、マレーシア合気道協会
短刀取で腰投げ、取り上げた短刀で倒れている相手の腕の健を切る…というような、派手な演武。かなりリアルファイティングなスタイルでした。
3番目に、合気道神戸三田道場です。
まず、淀川さんの演武があり、続いて女性演武、そして全員で演武しました。少し緊張しましたが、何とかいつも通りできました。
4番目に、合気会シンガポールの演武。
本部系の技、シンプルでオーソドックスな演武です。
そして最後に堀井師範の演武です。
ここでも堀井師範は、基本技を中心に演武されていたように思います。
海外なので、派手な技をされるのかと思いましたが、『基本を大切に』とのメッセージなのだと私は思います。

【10周年祝賀会】

演武大会はとどこおりなく終了し、いったんホテルに戻り身支度をしたあと歩いて祝賀会の会場に向かいます。
中華レストランで祝賀会は行われ、各師範からお祝いの言葉やプレゼントがマーカス道場長に送られます。中には手品を披露する人も…。
三田道場や当会のメンバーで英語が苦手だった人も、このころになると、みな何とか会話に参加しています。

【やはり二次会に…】

祝賀会もとどこおりなくおひらきとなり、一旦ホテルのロビーに戻ったところで、やはり、二次会にさそってもらいました。
今日は、マレーシア、シンガポール、ジャパンの混成軍です。
調整の結果、行き先はCAFEに決定。ワゴン車に乗り込みます。
10分ほど走り、閑静な住宅街のなかを進んでいくと、白くて四角い建物が…。『これが私達の道場よ!』そう、SHOBUKAN道場です。
連れて行っていただいたCAFEは道場のすぐ近くにあり、いつも稽古のあとにみんなが集まるのだそうです。
お互いの国での生活のことや、仕事のこと、もちろん合気道のことなど、朝から稽古と演武でフル活動していたことも忘れて話しまくりました。
『合気道を稽古するものに国境はない』と思いました。
英語で話していたのですが、なぜか会話の内容は日本語で覚えています。

【5日目 マレーシアから関空へ】

いよいよ旅も今日で終わり。朝六時すぎにホテルロビーに集合。
ずっとお世話になった、マーカス氏と奥様、リズ達がワゴン車で迎えに来てくれています。

【ひとり、またひとり…】

空港に着いて、あとは帰国を待つばかりだと思うと、充実感とともにとても切ない気持ちになってきました。
そのときです。昨日、稽古と祝賀会でお友達になったマレーシアのメンバー達が、ひとり、またひとりと集まってきて、握手を求めてきます。
みんな自宅から1時間以上も車を飛ばして見送りに来てくれたのです。総勢10名ほど。みんなでCAFEにいき、朝食ならぬ朝コーヒーを飲みました。
結局、マレーシアの人達は、入国したときから、パスポートチェックを通って出国するまでずーっとそばにいてサポートしてくれました。
クアラルンプールの普通の暮らしを垣間見れたことは、合気道なしには経験できなかったことだと思います。
また、彼らの合気道に対する熱意にも本当に素晴らしいものがありました。

この旅でお世話になったすべての人々に感謝して、筆をおくこととします。
長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。
(文・写真=あまがさき合気道クラブ 藤田隆充)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加